タピオカがなぜ社会的ブームを起こしたのか? ~コンサルに必要な抽象化思考~

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みなさん、こんにちは。GPTech1期生の古舘です。先日先輩との会話で「なぜタピオカが人気なのだろう」という話になりました。ただ調べてもつまらないと思い、コンサルタントにとって重要な思考法の一つである「抽象化」のトレーニングとしてこの疑問に取り掛かろうと思います。抽象化の説明では細谷功さんの「具体と抽象」という本を参考にさせていただきました。おススメです!
具体=わかりやすい? 抽象=わかりにくい?
というイメージを私は持っていました。以下の特徴をもちます。ですが、「抽象化」という作業をしてみることで、そのイメージは変わりました。
《具体と抽象の持つ特徴》
抽象化ってなに?
抽象化の方法は主に3つあります。
① 複数の事象をまとめて同じものとして扱ってみる
抽象化には複数の事象をまとめて同じものとして扱う機能があります。例えばマグロもサケもカツオもアジも「魚」というくくりにすることで、「魚は健康にいい」という表現ができます。もし抽象化という概念がない世界であるなら、「マグロとサケとカツオとアジと…は健康にいい」という冗長な文になってしまいます。つまり、抽象化はコミュニケーションを効率的にする効果があります。
② 複数の事象の特徴・法則を抽出してみる
「ライオン」「クジラ」「人間」の特徴を抽出すると「哺乳類」です。他にも「群れで行動する」「音でコミュニケーションをとる」等の特徴があげられると思いますが、共通する特徴の一つを拾ってそのほかの特徴を切り捨てることも抽象化の一つです。また、抽象化の最大のメリットは、共通の特徴でグルーピングすることで「一つの事象から得られた学びをほかの事象に活かすことが可能になる」ということです。
③ 構造・関係性で複数の事象をグルーピングしてみる
抽象化は複数の事象をまとめて「関係性」や「構造」として扱うことができます。例えば「国会」「裁判所」「内閣」はまとめて「三権分立」という構造で抽象化されます。また、日本史や世界史の史実を、何が原因で何が起こったという「因果関係」にグルーピングできれば、現在と将来に応用できるかもしれません。それでは、3つの方法を使って私なりに「タピオカがなぜ社会的ブームを起こしたのか?」を考えていきます。
タピオカがなぜ社会的ブームを起こしたのか?
① 複数の事象をまとめて同じものとして扱ってみる
タピオカを抽象化すると「ドリンク」「スイーツ」「グルメ」などが候補になりますが、今回は「社会現象を起こしたグルメ」というくくりで抽象化します。
② 複数の事象の特徴・法則を抽出してみる
SNSでのハッシュタグ数の多さ、メディアで取り上げられる頻度をもとに「社会現象を起こしたグルメ」をピックアップしていきます。最近だとチーズダツカルビ、チーズホットグ、パンケーキ、タピオカなどがあげられます。この4つに共通している特徴を抽出してみると
◎ 海外から輸入されたもの
◎ 女性人気の方が多い
◎ ビジュアルがオシャレ、新しい
◎ SNSで映えるような見た目
◎ SNSで写真が多く投稿されている
◎ 長い行列ができる
◎ 街中で飲み歩く or 食べ歩く姿を見る(パンケーキ除く)
などです。そこから
◉「日本に根付いているものよりも、海外から日本に上陸してきたものの方がブームを起こしやすいのではないか」
◉「SNS等のデジタルな情報、店舗の行列や商品を持ち歩く姿等のアナログな情報が合わさって購買につながっているのではないか」
◉「海外で流行しているもの、身の回りで流行しているもの、女性のほうがとにかく”流行りもの”に弱いのではないか」
◉「タピオカを飲み歩くということが一種のファッション、表現方法になっているのではないか」
といった仮説を見つけることができました。今思えば、私の行ったタピオカの店はイートインスペースが狭く設計されていたので、意図的に飲み歩きを促進して広告代わりにするという戦略という意味もあったのかもしれません。
③ 構造・関係性で複数の事象をグルーピングしてみる
実は今のタピオカブームは日本で3回目のブームということを知っていましたか?1回目は1992年ごろ、2回目は2008年ごろです。再ブームしたものを考えると、90年代に流行した「写ルンです」や登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」などがあげられます。この3つの中に「昔の若者に流行したものが、現代の若者にも流行している」という共通の構造が見えます。そこから
「昔からあるものであっても、若者にとっては目新しく魅力的に感じるのではないか」
という仮説が見えました。ここで注意点としては抽象化したものはあくまで仮説段階なので、法則として扱うにはデータや客観的な事実にあたってみる必要があります。また今回は少ないサンプルでしたが、一般的にはサンプル数があればあるほど、抽象化した仮説の説得力が増えます。
得られた法則を活用してみる
抽象化で得られた法則を活用するときの方法としてアナロジーがあります。アナロジーとは、別々の事柄に類似点を見つけて理解したり、新しいアイデアを発想したりする思考法です。先ほどの「デジタルとアナログが購買につながる」という法則をカレーに適用すると既存のサービスではありますが、オシャレで食べ歩きもできる「カップカレー」のようなものが生まれると思います。
コンサルタントにとって抽象化は重要
コンサルタントが発揮できるバリューの一つは「クライアントに競合他社・他業界での知見を用いた提案ができる」ことです。ただし他業界はもちろん、同じ競合他社でも会社によって抱えている課題にまったく同じものはありません。他のプロジェクトで有効だった施策をそのまま適用できるわけではないのです。そこで抽象化によって他企業の知見をいろいろなケースに応用できる状態にすることが重要です。
今回の記事ではタピオカを例に挙げましたが、日常のふとした疑問を抽象化というアプローチで考えてみるのは面白いと思います!
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