行動指針の浸透を図る―ボトムアップで始まった「行動指針ディスカッション」紹介
はじめに
こんにちは、新卒3期生の杉本です。今回はGPTechで行っている行動指針を浸透させる活動について紹介します。
多くの企業には、行動指針という「行動を起こす際に、どうするべきかの判断基準」があります。GPTechも例外ではなく、「7つの行動指針」という独自の行動指針を持っています。
※行動指針の詳細は以下の記事をご覧ください。
行動指針を掲げている企業は数多くありますが、それが形骸化している企業も少なくありません。入社を検討する際は、その企業の理念や指針が形骸化してしまっていないかというのはとても気になるところです。
GPTechでは行動指針を形骸化させず、全社員に浸透させるために「行動指針ディスカッション」という取り組みを行っています。
この取り組みでは、会社の理念や指針を浸透させるために「どうすれば全従業員が行動指針の理解度を高められるのか、どうすれば納得感を生み出せるのか?」を最も重要な論点としています。
GPTechの7つの行動指針
「行動指針ディスカッション」の説明に入る前に、GPTechの7つの行動指針について説明します。
GPTechの7つの行動指針とそれぞれの説明は以下の通りです。
1. 本質考動 | 本質思考は、論理思考より優先する。 現象の裏に隠れる本質に対して対処をしなければ、論理がいくら正しくても誤ったゴールにしか辿り着かない。 本質的な思考、行動がとれる組織は、目指すべきゴールに早く、最短にたどり着くことができる。 |
2. コミットメント | 完遂することを約束する。 コミットメント(約束を完遂すること)は信頼に繋がる。 |
3. 期待+α | 期待を上回る成果は、相手の感動を生み出す。 期待を上回る成果を生み出すことは、正のスパイラルを生み、自身の成長を加速させる。 期待を上回るためには、期待値を正確に把握し、コントロールすることが重要である。 |
4. 受け身からの脱却 | 受け身の仕事では、決して高い成果を生み出すことはできない。 自身が主体的に仕事に挑むことで、期待を上回る成果を生み出し、更なる成長機会を得られる。 |
5. 他責の否定 | 他責とは、他者の過去を指摘すること。 他責の否定において、自身の過去を振り返ることも必要だが、自身の未来と他者の未来に対する建設的な働きかけこそがより重要である。 |
6. 好奇心と探求心 | IT業界の変化は早い。トレンドに対して、高いアンテナを張り続ける好奇心が必要である。 ものごとを表面的に捉えるのではなく、その真理・本質を探究することが重要である。 クライアントと協働するためには、クライアントに対して強い関心と理解を持つことが必要であり、そこにも好奇心と探究心が必要である。 |
7. 組織成長への貢献 | 自身だけの提供価値には限界があり、より大きな価値を提供するために組織が存在する。 組織の成長は、自身の提供価値の向上につながる。 組織は、組織のメンバーの力なくしては成長できない。 組織の成長と、組織に属するメンバーの成長は、相互に関連する。 |
GPTechの社員にはこれらの行動指針に基づいた行動が求められています。しかし、何事もただ掲げているだけでは浸透しにくいものです。
そこでGPTechでは、単に「行動指針にならって行動しよう」という呼びかけだけでなく、上司や部下を評価する360°評価の項目にも行動指針が組み込まれています。そのため、自分や周りの社員の行動について、どのくらい行動指針に基づいて行動できたのかを定期的に振り替えることができ、何も仕組化されていない場合と比較して、より浸透していると考えています。
とはいえ、「全社的に共通認識を持つ」という面では課題がありました。360°評価というクローズドな環境で振り替えるため、行動指針の解釈が人によって異なってしまうというものです。
例えば、「期待+α」と「受け身からの脱却」がほぼ同義になっていたり、ある行動について「他責の否定」として捉えるメンバーとそうでないメンバーがいました。具体的には、後者について「他責の否定」を単に「問題を人のせいにしないこと」と解釈するメンバーがいる一方で、別のメンバーは「人のせいにしないのはもちろん、問題の解決に向けて取り組むこと」と解釈している、といった具合です。
これでは、トップが意図した指針が正しく伝わらず、注力すべき方向性や達成レベルを誤って認識してしまいます(特に360°評価に組み込んでいる以上、大きな課題です)。
この課題を解決するために、組織として行動指針の認識の共通理解レベルを高める必要がありました。
行動指針ディスカッションとは?
ではどうすれば組織として行動指針の理解を統一することができるのか?
この課題を解決するためには、社員同士がディスカッションによる対話を行い、それぞれの行動指針について「私はこう認識している」というそれぞれの”自分の考え”と”他人の考え”をすり合わせるほかないと考えました。
そのようにして、行動指針の共通理解のレベルを底上げするために始めた取り組みが「行動指針ディスカッション」です。
行動指針ディスカッションは、与えられた行動指針をただ鵜呑みにするのではなく、自分たちの頭で「その行動指針は何を言っているのか?」を考えるディスカッションです。
会社の指針や理念を浸透させる上で、社員自身で考えることは非常に重要なことです。自ら考えることで深い納得感を得ることができ、行動指針が自身の行動まで意識付けられると考えました。
そのためには、まずは「客観的な答えを脇に置く」ことを意識することが重要です。
「客観的な答え」とは、「その指針に対するトップの意図は何か」「その指針の辞書的な意味は何か」といった、定義した人間の意図や一般的な解釈を指します。議論の中心が「客観的な答え」を探すことになると、抽象的な空論に終始し、理解度を高めることはできても、深く納得することは難しくなります。
そこで、「どのような行動をしたとき/見たとき、その指針を体現できていると確信したのか」という具体的かつ主観的な体験から考えていきました。具体的・主観的な体験から帰納的に考えることが、指針の解像度やイメージを高めることに繋がります。その結果、誰もが納得できる答えにたどり着きやすくなると考えました。
「いつも期日通りに資料を完成させている〇〇さんはコミットメントを体現していると思う。」
「△△さんは、インシデントが発生した時に担当者を責めるのではなくすぐにリカバリーできていた。このような行動こそが他責の否定だと思う。」
このように具体的な体験ベースでそれぞれの行動指針に関する「確信」を投げ合います。
そして、その確信がなぜ生じているのか、確信が成立する条件を参加者全員が納得できる形で言語化します。
行動指針は、「行動を起こす際に、どうするべきかの判断基準」です。
いくらトップが行動指針を浸透させてようとしても、現場の社員が心の底から納得していなければ、「行動の判断基準」にはならないのではないでしょうか。
社員同士で具体的な確信を投げ合うことで、行動指針の理解度・納得感を高めることができます。そして、その確信がどのような条件で成立しているのかをその場にいる全員が納得するまで議論し、言語化する。これが理念や指針を本当の意味で浸透させるための方法の一つだと考えています。
行動指針を論理的に理解しているだけでは行動に落とし込むことはできませんし、納得しているだけでは誤った実践に走りかねません。論理による「理解」と、感情による「納得」、この二つが両輪となって初めて、理念・指針は浸透していくものではないでしょうか。
行動指針ディスカッションの活動内容
では、具体的に社内でどのように行動指針ディスカッションを推進していったのかを説明します。
行動指針ディスカッションの活動の流れは以下の通りです。②~④で出たコメントや指摘を基にブラッシュアップを重ね、完成した内容を⑤で全社展開しました。
<行動指針ディスカッションの活動ステップ>
① 若手社員を中心に少人数のディスカッションを実施(複数回)
② ①の結果を人事系役員と若手社員全体に共有
③ ②の結果を資料に整理→マネージャー級社員に共有
④ ③の資料を坂本(代表)に報告
⑤ ④の結果の全社展開
そもそもの発端として、入社まもない社員にとって360°評価をする判断基準が分からなかったことから、行動指針の理解にばらつきがあるという課題が顕在化しました。そのため、まずはアソシエイトコンサルタント/コンサルタントを中心とした若手社員10名程度でディスカッションを開始しました(①-1)。
GPTechの行動指針は7つあります。1つの行動指針につき、30分×3回の週次ミーティング(各回の参加者は4名程度)を設け、ディスカッション内容を資料にまとめました。(①-2)その内容を月次で役員と若手社員全体に共有しました。(②)
次に、共有して得られた気づきやコメント等をマネージャー層の社員とすり合わせ(③)、坂本(代表)に報告し(④)、得たコメントや指摘事項を基にブラッシュアップして全社展開(⑤)したという流れです。
各フェーズで各人の「理解度」を高め、「納得感」を得ることを意識しました。
前述した通り、行動指針は十分な理解や納得感がなければ、本来の目的を達成できません。
行動指針の理解度を高めるとともに、立場の異なるそれぞれの社員が納得できる共通理解を得ることに最も重きを置く必要があると考えます。
行動指針ディスカッションを実施した結果
行動指針ディスカッションは一年間の間、継続して実施しました。
その結果、以下の2つの効果があったと思います。
「具体的な行動ベースで行動指針を議論することで、トップから与えられた抽象的な指針を理解・納得することができた。」
「明文化されていなかった指針を、トップとボトムの双方の考えを盛り込んで言語化することで、共通理解の範囲が広い指針の再定義ができた。」
今回は指針を言語化するという目的のためにディスカッションを行いましたが、ディスカッション自体にも価値があると考えています。行動指針ディスカッションには全社員の60%以上が参加し、それぞれが納得できるところまで議論しました。このディスカッションだけでも、社員への行動指針の意識付けはかなり進んだと感じています。
行動指針を詳細に言語化した資料は、360°評価で活用する判断基準のガイド(「行動指針ガイド」)としてまとめ、全社に展開しています。各社員が納得するまで議論した内容を基にした行動指針ガイドだからこそ、それに基づいて他者評価を行うことで、評価内容も納得できるものになるのだと考えます。
まとめ
行動指針ディスカッションはボトムアップで始まった取り組みです。これまでGPTechではトップダウンの理念浸透を図る取り組みが行われてきましたが、指針・理念を浸透させるためには、トップダウンとボトムアップの双方の働きかけが重要だと感じています。
そのうえで、各人の行動指針への「理解度」を高めるともに、「納得感」を生み出すことで、行動指針が社員の「行動の判断基準」になると考えています。その一つの方法として、既存の答えに縛られない、具体的な経験ベースのディスカッションを行った事例を紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。GPTechは理念や指針を非常に大切にしている企業です。今後も理念・指針浸透のための取り組みを行い、より強い組織を目指していきます。
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