「本質考動」とは何か──本質思考を“行動”に変える、GPTech流・思考法の実践
- 2025.12.25
- 社内研修
はじめまして!
株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジー(以下GPTech)に新卒で入社した武田です。
GPTechには、各社員が日々の仕事の中で大切にする行動指針として「本質考動(ほんしつこうどう)」があります。
※GPTechの行動指針について説明した記事は以下です。
これは単なるスローガンではなく、各社員が“どう考え、どう動くか”を支える共通の思考法です。
この記事では、これからGPTechへの入社を考えている方に向けて、この「本質考動」という考え方を私なりに噛み砕いてお伝えします。
この記事を読むことで、
- GPTechがどんな文化を大切にしているか
- どんな力を発揮できる人が活躍しているか
- 本質考動はどのように実践するか
を具体的にイメージできるはずです。
そしてもう一つの狙いは、“仕事や勉強など、あらゆる場面に通じる考え方”としての「本質考動」を感じてもらうこと。
もしこの記事が、あなたの思考を少し深めるきっかけになれば嬉しいです。
本質考動とは?
本質考動とは?
GPTechには「7つの行動指針」があり、その中でも最初に掲げられているのが「本質考動」です。
これは、他の行動指針を支える“土台”であり、すべての社員が日々の業務で意識する根本的な考え方です。

では「本質考動」とは何を指すのでしょうか。
GPTechでは、「表面的な事象に惑わされず、その奥にある本質に基づいて行動すること」と定義しています。つまり、「なぜそれが起きているのか」を深く考え(=思考)、「どうすればより良くできるか」を実際に動いて試す(=行動)、この2つをつなぐ姿勢こそが“本質考動”です。
ここでいう「本質」とは、物事を成り立たせている“仕組み”や“法則”のことで、言い換えると「原理」や「原則」を指します。
原理は“物事の構造を理解すること”であり、原則は“その構造を踏まえてどう動くかという方針”です。
つまり本質考動とは、
- 現象の背後にある原理・原則を見抜く(=考える)
- 1.で抽出した原理・原則に基づき、現実に働きかける(=動く)
この2つのサイクルを回し続けることを指します。
本質考動はなぜ重要か?
では、なぜGPTechでは「本質考動」を最初の行動指針としているのでしょうか。
理由はシンプルで「最短でゴールにたどり着くために欠かせない考え方」であるためです。
たとえば、「会議が長い」という現象があったとします。
もし表面的に「じゃあ時間を短くしよう」とだけ考えると、結局その短い時間の中でも結論が出ず、問題は変わりません。
しかし、「なぜ会議が長いのか」を掘り下げ、「目的が不明確」「判断基準が共有されていない」といった構造的な要因を見抜けば、より本質的な解決が見えてきます。
このように、“本質を捉えて動く”ことで、一見複雑に見える課題もシンプルに整理され、最も効果的な解決策に早くたどり着けるのです。
だからこそ、GPTechでは「本質考動」をすべての行動指針の出発点として大切にしています。
本質考動の実践方法
本質考動を実践する方法は一つではありません。
今回は、私の実践方法として、日々の仕事の中で再現性を持って活かすための5ステップを共有します。
ステップ①:現象の理解
起きていることを正しく把握し、個人の感情を印象を排して事実を捉える
ステップ②:理想の仮定
「どうなっていたいか」という理想像を描き、分析や打ち手の方向性を定める
ステップ③:原因の追究
なぜなぜ分析で構造的な原因を深堀りし、複数の事象に通じる普遍的な原理を抽出する
ステップ④:打ち手の設計
導いた原理を基に、行動指針(原則)を整理し、先読みと逆算で最適な打ち手を設計する
ステップ⑤:行動と検証
原則に沿って実行し、結果を観察して再び原理・原則を見直す

この5ステップは、「過去(原因)を理解し、現在(現象)を捉え、未来(理想)へつなぐ」思考の流れでもあります。
それぞれ、具体的な方法論と合わせて説明します。
ステップ① 現象理解:起きていることを正しく理解する
本質的に考える第一歩は、「現象を正しく見ること」です。
多くの人は、問題に直面するとすぐに「なぜ?」「どうすれば?」を考えがちですが、まず大切なのは、事実を正確に捉えることです。
感情や評価を交えず、What・When・Whoなどの事実を整理し、“いま何が起きているのか”を定義します。
いわゆる5W1Hが代表的なフレームワークですが、整理することが目的ではありません。
目的は、現象を構造的に理解するための材料をそろえることにあります。つまり、目の前の出来事を一度フラットに分解し、後の分析で「なぜそれが起きているのか」を正しく追える状態にすることが肝要です。

たとえば、「会議が長い」という現象があった場合を説明します。
まず、実際に“会議がどのくらい長いのか”ということを「平均会議時間が90分」のように明確化します。
さらに、単に平均時間の測定という捉え方ではまだ現象理解には不足があります。
“どの会議体が延長しやすいのか”や“どのように会議が進行していたのか“などから、会議体ごとの延長回数、会議の性質、会議のタイムライン、参加者の構成などの時間の裏側にある“構造”を丁寧に観察していくことが求められます。
そのうえで、整理した事実をもとに 「なぜ起きているのか(Why So)」や「何に影響しているのか(So What)」 を概要として整理しておくとより良いと考えています。
たとえば「目的が共有されていないからかもしれない」「その結果、決定が持ち越されている」といった具合です。
ただし、ここでのWhy So/So Whatは、あくまで現象の輪郭をつかむためのものです。
深い原因の追及や理想の定義は、以降のステップで行います。
“考えを深める前に、まず正しく見る”。
このステップで現象の構造を整理しておくことで、次の「理想の仮定」や「原因追求」がより的確になります。
ステップ② 理想の仮定:理想を仮定し、分析・打ち手の方向性を定める
①で現象の理解を進めましたが、どれだけ正確に現象を見ても、目指す姿が曖昧では思考も行動も迷子になります。だからこそ、次に行うのは「どんな状態を目指すのか」という理想を仮に置くことです。
ここでいう理想とは、「ありたい姿」や「それを目指す意義」を指します。
完璧でなくて構わないため、”仮のゴール”を具体的に設定することで、分析の方向性が自然に定まります。

「会議が長い」という現象の場合、理想を描くなら——「短い時間でも必要な判断がスムーズに行われる状態」かもしれません。
そしてその意義は、「限られた時間で生産的な議論を行うため」です。
また目標として「平均会議時間を60分以内にし、結論を明文化する」などを置くと、“どこを改善すれば理想に近づくか”が明確になります。
このように理想を仮定することで、分析の焦点が「時間」だけでなく「意思決定の質」にも広がります。
理想は、単なる希望ではなく思考のコンパスと言えます。
「何のために」「どんな状態をつくりたいのか」を意識することで、次のステップ③の“原因追求”に、ぶれない軸を与えてくれます。
ステップ③ 原因の追求:背後の仕組みを見抜く
ここでは、①で整理した「現象」と②で描いた「理想」をつなぐために、その間にある“構造的な原因”を探っていきます。
目的は、表面的な原因ではなく再現される仕組みを理解することです。
分析の中心になるのが、「なぜなぜ分析」と「汎化(はんか)」です。 前者は“深く掘る思考”、後者は“広く使う思考”です。

なぜなぜ分析とは? — 現象の深層を掘り下げること
「なぜ?」を繰り返すことにより、現象を引き起こす根本原因を特定します。
なぜなぜ分析のポイントはいくつかありますが、その一つとして、問いの回数ではなく、“問いの方向性”がポイントになります。
掘る方向は、②で設定した「理想」に向けて設定します。
そのうえで、問いの方向性としては、「なぜそれが起きているのか?」を問うだけでなく、「やったほうがいいとわかっていながら、なぜ、まだできていないのか?」(=Why not yet?)などの多角的な視点を持つことで、“理想と現実の間にある壁”を浮かび上がらせることができます。
(参考:https://www.biz-knowledge.com/entry-2021-05-02-221000/)
たとえば、「会議が長い」という現象に対して、「なぜ会議が長い?」→「議題が曖昧」→「目的が共有されていない」まではよくある掘り方です。
ただここで一歩踏み込み「なぜまだ目的が共有されていないのか?」と問うと、「目的を設定する責任者が決まっていない」「共有のプロセスが仕組み化されていない」など、“理想の実現を妨げている構造的な要因”が見えてきます。
これが、単なる原因分析ではなく「理想のギャップを生む仕組みの理解」に変わる瞬間です。
汎化とは? ―構造を抽象化し、抜け漏れなく本質的にすること
なぜなぜ分析で原因を掘り下げたあとは、得られた理解を“構造として整理し直す”ステップに進みます。
ここで出てくるのが「汎化(はんか)」です。
汎化とは、特定の現象に固有の要因を、より上位の構造(仕組み)として捉え直すことです。その目的は、単に他の場面に応用するためではなく、今回の問題をより確実に・抜け漏れなく解決するために、見えていなかった要因や条件を明らかにすることにあります。
たとえば、「会議が長い」という現象を掘り下げていくと、「目的が共有されていない」という表面的な原因の背後に、さらに「目的を設定する責任者が決まっていない」「共有のプロセスが仕組み化されていない」という構造的な要因が見えてきます。
この段階で汎化を行うと、「会議の目的が共有されていない」という個別問題を超えて、“意思決定の前提となる情報(目的・基準・役割・責任)が整っていない”というより上位の構造が浮かび上がります。
こうして構造を整理することで、次の④打ち手の設計で、「目的の明確化」だけでなく、「責任者の定義」「共有ルールの整備」「判断基準の確認」など、抜け漏れのない一連の解決策を導くことができるようになります。
この構造を一文で言い直すと、
原理:意思決定に必要な情報が整理されていれば、判断は速くなる(※1)
という形になります。
この原理は、会議に限らず、報告・承認・プロジェクト推進など、あらゆる場面に通じる“判断を滞らせる共通構造”を示しています。
つまり汎化とは、その場の原因を超えて、現象を成立させている“仕組み”を掴むこと。
そうすることで、表面的な改善に終わらず、より精度が高く・再現性のある解決策を設計できるようになります。
(※1)この時、「情報が整理されていないと判断が遅くなる」という表現を逆転させていることに気が付いたでしょうか。
注意として、この“逆転”は常に正しいとは限りません。なぜなら、「AでないとBになる」という命題の裏「AならBの否定になる」は、論理的には必ずしも成立しないからです。
「裏は真とは限らない」という原理に基づけば、このような逆転の発想で導き出した原理は真とは限らない、一般的なビジネスの表現で言い直すと「仮説にすぎない」ということになります。
仮説にすぎないからこそ、ステップ④で仮説の原理から原則、打ち手を導き出したとしても、それも仮説にすぎないので、ステップ⑤で行動と検証を繰り返すことが重要になります。
これを踏まえて、以降のステップを読むとより解像度が高まることと思います。
ステップ④ 打ち手の設計:原理を踏まえた原則を導き、最適な打ち手を描く
掘り下げて導いた原理を、現実の行動に活かせる形に翻訳していきます。

ここで重要になるのは、まず「どうあるべきか」という判断の軸=原則を定めることです。
原理が“仕組み”だとすれば、原則は“その仕組みを壊さずに動くための方針”です。原理を原則に変えるときは、その原理が成り立つために欠かせない条件を考えるのがポイントです。
前のステップで導いた原理は「意思決定に必要な情報が整理されていれば、判断は速くなる」でした。
この原理が成り立つためには、「情報が整理され、関係者に共有されている」状態が欠かせません。
したがって、原則としては、その状態を意識的に再現・維持することが求められます。
原則:意思決定を伴う行動を始める前には、判断に必要な情報を整理し、関係者と共有しておく(べきだ)
このように、原理が成り立つための条件を“行動として再現可能な形”に翻訳することで、再現性のある判断基準=原則が生まれます。
そして、この原則を軸に最適な打ち手を検討します。
ここで大切なのは「最適解は一度では見つからない」という前提です。
原則を基に、理想とのギャップを埋める手段を複数シミュレーションし、状況に応じて最も効果的なものを選ぶプロセスが必要になります。
たとえば上記の原則から導かれる打ち手としては、
- 会議招集時に「目的・決定事項・前提情報」を明記する
- 会議冒頭で「判断基準と論点」を共有する
- 会議後に「決定内容と更新情報」を記録・共有する
などの複数のアプローチが考えられます。
これらを理想とのギャップを軸に比較して、その打ち手を実行したときの状態をシミュレーションし、状況に最も合うものを選ぶことが“最短でゴールにたどり着く”ための思考の実践です。
ステップ⑤ 行動と検証:最適な打ち手を実行し、振り返る
ここまでで導いた原理・原則を、実際の行動として試すフェーズです。
本質考動は、「考えるだけ」で終わらず、行動によって初めて完成します。ただし、ここで大切なのは「最適解はやってみないとわからない」という前提です。
原則に沿って行動し、結果を観察しながら思考を更新していくことを意識する必要があります。

たとえば、原則として「会議前に情報を整理・共有する」を実行した結果、「判断は速くなったが、準備の負担が増えた」と気づくかもしれません。
このとき、「何が本質的な改善なのか?」を見直すことで、新たな原理や原則が見えてきます。
- 新たな原理:情報の透明性だけでなく、効率性も意思決定の速さを支える要素である
- 新たな原則:共有すべき情報を取捨選択する仕組みを整える
このように、行動→観察→再定義のサイクルを回すことで、原理・原則の精度が少しずつ高まっていきます。
実務のスピードの中では、すべてのステップを丁寧に踏むのは難しいかもしれません。
それでも、日々の行動の中で「なぜうまくいったのか」「どこがずれていたのか」を少しだけ立ち止まって考えるだけで、次の一歩がより本質に近づきます。
5つのステップのまとめ
ここまで、本質考動を5つのステップで整理してきました。
- 現象の理解:起きていることを事実として正しく捉える
- 理想の仮定:ありたい姿と意義を描き、思考の方向を定める
- 原因の追求:なぜなぜ分析と汎化で構造的な原理を導く
- 方針の設計:原理を行動指針(原則)に変えて打ち手を設計する
- 行動と検証:原則に基づいて行動し、結果を観察・再定義する

本質考動とは、単に「考える」ことではなく、考えを現実の行動に結びつけ、検証し、再定義していくプロセスです。
それは「最短でゴールにたどり着く」ための、再現性のある思考法でもあります。
そしてこのプロセスを日常の仕事で実践することが、GPTechという組織の文化そのものでもあります。
おわりに― 「考える力」を行動で磨くということ
GPTechでは、正解のない課題に向き合いながら、一人ひとりが「なぜ?」を掘り下げ、「どうすれば?」を自ら描いていきます。
それは簡単ではありません。
けれど、そのプロセスこそが成長であり、信頼されるコンサルタントの礎です。
本質考動を実践することで、あなたの思考は確実に磨かれます。
表面的な解決策ではなく、「本当に価値ある一手」を選び取れるようになる。
それが、GPTechが求める“自律的に考え、動ける人材”の姿です。
もし、あなたが
- 与えられた仕事ではなく、自ら考えて価値を生みたい
- 思考力を磨ける環境で、自分の成長を実感したい
そう感じているなら、GPTechはきっとあなたに合う場所です。
ここで磨く「本質考動」は、どんな環境でも通用する普遍的な力。日々の仕事を通じて、思考が行動に、行動が成果に、そして成果が自信に変わっていく。
考え、動き、また考える。
その繰り返しの中で、人は確実に成長していく。
GPTechは、そんな成長の循環を一緒に描いていける仲間を、いつでも歓迎しています。
採用に関するご質問やご相談
GPTechでは中途採用および新卒採用を募集しています。
詳しい募集内容や選考の流れなど、お気軽にお問合せください。また、Web会議等での会社説明や社員(ITコンサルタント)との面談についても、ご希望に応じて承っています。
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