ディベート研修で磨くロジカル・コミュニケーション力
こんにちは、GPTechでコンサルタントをしている長島です。
私は2020年1月にGPTechに入社し、前職では大企業向け人事・給与システムの開発・販売を行っている会社の品質管理保証部にて、システムの品質管理業務に約4年間従事していました。
品質管理業務では、品質の良いシステムを出荷する為に「どのような観点で品質を管理すべきか」、「どのような方法で品質を向上させるべきか」など、システムを作る側ではなく作られたシステムに対する問題解決側の立場で仕事を進めていました。
以上の経歴の通り、GPTech入社前の私にとってコンサルタント職としてのコンサルティング経験はありません。しかし、今回のディベート研修では、前職でのシステム開発者や他部署社員とのコミュニケーションの中で培った、「論理的に考えや意見を伝える」というスキルが活かせるのではないかと考えていました。
前置きが長くなりましたが、この記事では、ディベートの概要や研修目的、詳しい内容について紹介し、私が研修を通してどのようなことを学んだのかについてお伝えしたいと思います。
ディベートとは
ディベートという言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際に行った経験がある人は限られるのではないでしょうか。
ディベートとは、一つのテーマに対し肯定または否定のチームに分かれて、それぞれの立場から討論を行うものです。肯定派も否定派も各々の主張が正しく道理にかなっていることを主張し、相手方のロジックや考えを論破することを目指します。
討論の結果は、第三者的な立場である判定人(ジャッジ)が勝敗の判定を下すことで決定しますが、勝敗結果そのものはそこまで重要ではありません。それよりも、自身の論理的思考力やロジカル・コミュニケーションスキル、プレゼンスキルのレベルを把握し、磨くことを主眼に置いています。
ディベート研修
研修の目的
まず、今回のディベート研修の目的と目指す姿、一日の流れ、具体的な内容についてお伝えします。
■研修の目的
ディベートの理解と実践を通して、コンサルタントの基礎能力である「ロジカル・コミュニケーション力」を磨く。
■研修後の目指す姿
ロジカル・コミュニケーション力を磨くことで、下記の3つのスキルセットの獲得を目指し、コンサルタントの基礎能力を身につけることを目指す。
- 客観的・批判的・多角的な視点を活かし、複雑な問題を解決できる。
- 論理を明確な根拠で裏づけ、難易度の高い判断や人の説得に活かすことができる。
- 相手の主張を素早く理解し論点を見抜くことで、議論を深めることができる。
研修の流れ
今回は、朝から夕方まで丸一日を研修にあて、午前中は講義としてディベートの概要や技術を学び、午後は演習として、20卒(新卒)チームと19卒+長島チーム(各3人)に分かれて、実際にディベートを2回行いました。
午前(講義)
1.オリエンテーション(本研修の意義や目的の確認と到達目標の設定)
2.ディベートの概要説明(ディベートの概要や技術についての講義)
午後(演習)
3.ディベート実践(各3人のチームに分かれて2テーマについて試合を実施)
4.まとめ(講師やオブザーバ―社員からの講評と受講者間での学びの共有)
1回目のテーマは「日本は2030年以降、全ての乗用自動車を電気自動車に切り替えるべきか否か」であり、2回目は「GPTechの若手社員は週3日の在宅勤務を実施すべきであるか否か」 というものです。
いずれのテーマも一概に肯定または否定できるものではなく、また各個人の志向や価値観等は考慮せず「肯定派」および「否定派」の両方を実践したことから、各々の固定観念に縛られずにディベートに臨むことができました。
研修の詳細内容
午前中の座学では、午後の実践演習で用いる立論や反駁などのディベート用語や、ディベートの流れについて講義を受けました。
もしかすると、立論や反駁という言葉に馴染みがない方もいるかもしれません。
立論とは、 ディベートの最初に肯定側および否定側が各々のメリットやデメリットについて発表するスピーチを指します。 一般的に、自身の意見を相手に認めてもらうには、自説が相手にとってどれだけメリットが大きいかを伝えることが肝心です。しかし、ディベートでは聞き手(相手チーム)から「自身の主張(メリット)に対する指摘、ツッコミ(反駁)」があるため、デメリットについても提示する必要があります。
なお、反駁に対しては「反駁の反駁(相手チームからの反論に対する自チームによる反論)」があり、「反駁」について理屈が通っていない点や論点がずれている点などについて反論します。
その際のポイントは、「相手の意見の“単なる否定”をしない」ことです。自分の意見を伝えることは当然ですが、「客観的、多角的、批判的」な観点から漏れがないことを意識し、自チームの主張がどのような視点から見ても道理にかなっていることを主張します。
午後の実践演習の流れは以下の通りです。準備に1時間、ディベートに1時間が設定されています。私たちのチームでは、準備時間の1時間の内訳として、25分間をチーム作業、35分間を個人作業にあてました。
準備時間のうち、特に重要なのは一番最初の「定義の認識合わせ」だと考えます。例えば1回目のテーマである「日本は 2030年以降全ての乗用自動車を電気自動車に切り替えるべきか否か」についても、まず「電気自動車」の概念についてチーム内で認識合わせを図る必要があります。(ハイブリッド車は電気自動車に含まれるか否か、等)
定義の認識がずれているとその後の論点整理でも論点がばらけてしまい、チームとして一貫性のある主張をすることが大変難しくなります。この点はプロジェクトマネジメントにも通じる所ですが、社内外を問わず複数メンバーで業務を進める際においても、開始当初や随所で意識的に関係者間で認識合わせを図ることが肝要です。
実際、演習(ディベート)において、自チームの正当性を主張しつつ相手チームからの指摘に対しても根拠をもって反論を試みましたが、その過程で、自分の考えに説得に足るだけの根拠を持たせて相手に伝えきることの難しさを実感しました。
また、今回のディベートはチーム戦で行った以上、発言にあたっては自チームの他メンバーの意見を集め、あくまで自チームの代表として発言することになります。しかし、普段から「即時的に他者の意見を取りまとめて発言する機会」に慣れていないこともあり、背景や根拠の理解が足りないまま主張してしまいました。そして、(やはりというか)直後にその点について反駁されるといった状況に陥り、「他者の考えを自分の発言として主張すること」の難しさについても身に染みて体感しました。
研修での気づきと学び
研修の感想として率直に感じたことは、コンサルタントにとっての基礎能力の一つとされる、ロジカル・コミュニケーションに対する認識が変わったことです。
研修受講前の私にとって、ロジカル・コミュニケーションとは「自分の考えや思いを論理的に伝える」ことでした。しかし、この認識は「“相手の考えや思いを踏まえた上で”自分の考えや思いを論理的に伝える」 という大事な視点(相手視点)が抜けているものでした。
ディベートにおいて自身の考えがいかに正当かを伝えることは当然重要ですが、同時に、相手の考えがいかに正当性を欠いているかという点について客観的な説得力をもって伝えられなければ、相手方チームにも判定者(ジャッジ)にも納得してもらうことは大変難しいです。
- 自分の考えや思いを論理的かつ一方的に相手に伝えるのではなく、相手の考えや思いを理解した上で客観的・多角的・批判的に考え、相手が自分の考えや思いを理解できるよう論理的に伝える。
上記を主眼としたコミュニケーションこそが、本当の意味でのロジカル・コミュニケーションだということを、今回の研修で学ぶことができました。
まとめ
今回の研修を通してロジカル・コミュニケーションについての正しい理解が得られたのは、実践演習による点が大きいと感じています。
演習を通して、自身の考えを淀みなく論理的に述べることの難易度の高さを痛感し、「考える」「伝える」スキルの向上には、業務の中で適宜ふりかえりを設けるなど今後も継続して研鑽を積む必要があると思いました。
今回のディベート研修では、私(長島)を含む新卒等の若手社員が参加しましたが、ディベートで鍛えられるスキルは社会人として汎用性の高いものであり、またITコンサルタントとしても重要度の高いスキルの一つであることから、若手に限らずどのような役職、年代の社員であっても学びが深いものだと考えます。
その上でチーム内でのフラットなディスカッションを重視するために、ある程度近い役職でチームを構成することも一つの方法だと思います。ゆくゆくはGPTechでも若手以外の社員(例えば経営層やマネージャー層等)でディベートを行い、参加者だけでなくオブザーバとしても学べる機会を増やしていけたらと思います。
「ディベート」と銘打った機会は社会人でも学生の方でも普段からそうあるものではありませんが、違う意見や考えを持つ他者とアサーティブなスタンスでディスカッションする場面は、往々にしてよくあると思います。そのような場面でこの記事が少しでも皆さまの参考になれば嬉しいです。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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