業務理解を深めるヒアリングのコツと業務フロー作成のポイント【初級者編】
こんにちは。GPTech新卒2期生の吉原です。
2020年度の新卒研修の第3弾として、今回は、クライアントの業務のやり方や問題点を理解、整理するために行う「業務ヒアリングと業務フローの作成」について、ロールプレイングを通して学んだことをご紹介します。
※「ロールプレイング」は疑似体験を通した研修方法です。
業務ヒアリングとは
業務ヒアリングとは、対象業務に携わる従業員等に聞き取りを行い、業務をより深く理解するために行います。
コンサルタントは、業務ヒアリングによって得た情報をもとに、クライアントの現状業務を整理して課題を分析し、改善策を提案します。特に業務改善の観点では、ヒアリングは提案のための第1歩といえる重要なプロセスの一つです。
今回の研修では、ロールプレイングの設定として「GPTech、クライアント、ベンダーの3社間でのNDA(秘密保持契約)締結業務のヒアリング」を題材に、GPTechの先輩社員(設定:プロジェクトにアサインされたコンサルタント)に対しヒアリングを行いました。
ヒアリング成果を左右する事前準備
業務ヒアリングは、実施にあたり相当の工数や労力を必要とする業務です。そのため、時間対効果をできるだけ高めるためには、事前に「対象となる業務の一般的な知識を調べ、業務の流れを細かくイメージしておく」ことが重要です。
しかし、今回のロールプレイングによる研修で自分が行ったヒアリングの成果を振り返ると、初回のヒアリングでは業務フロー作成に必要なだけの情報を聞きだすことはできませんでした。
では何が原因だったのか。
原因は、ヒアリング前の準備が甘かったことにあると考えます。
初回のヒアリングでは、「NDAのひな型を準備して、互いに内容を修正し、合意したらハンコを押して終わり」という、業務の流れをざっくり把握することをゴールに置いていました。
しかしその結果、「次のプロセスはどのような流れですか」という粒度の粗い質問しかできず、回答も粒度の粗いものになってしまい、業務の詳細な流れを追うためのヒアリングはできませんでした。
そのため、本来であれば 1回分のヒアリングで内容を聞き出し、初回で完了することが可能でしたが、追加でもう一度(計2回)行うことになってしまいました。
事前に①NDA締結プロセスの確認と②NDA締結事例の調査、③NDAのテンプレートの確認により、詳細な業務の流れをイメージした状態でヒアリングに臨んでいれば、一回の実施で詳細な業務の流れまで聞くことができたものと思います。
ヒアリング内容の理解を深める「再定義」
ヒアリングで意識するべきことの一つに、「自分が相手の発言を正確に理解できているかの確認(相手の意図と自分の認識が一致しているか)」があります。
例えば、業務上の処理の一つである「文書を確認する」という言葉の背景に考えられる意味を挙げると、
・文書が存在することを確認する
・文書の内容を読み、修正点があるかを確認する
・すでに修正が終わっている文書を改めて確認する
というように、業務プロセスによって様々なパターンが考えられます。
もし「相手の発言の意図」と「自分の認識」にずれがあった場合、不一致の確認を怠ったままヒアリングを終えてしまうと、互いに気付かずに認識の齟齬が生まれ、誤った業務理解、業務分析につながります。
そのような認識の齟齬を防ぐため、質問者(コンサルタント)は、相手の回答に対し、「それはつまり〇〇ということですか?」等の質問を行い、「再定義(= 質問者の認識を別の言葉で言い換えて認識の齟齬を防ぐこと )」によって、認識の一致を図ります。
業務フローとは
業務フローは、業務における判断や処理の流れを図式化したものです。対象業務に関わる従業員等へのヒアリングによって業務を理解し、得た情報をもとに業務フローを作成します。
業務フロー例
業務フローには、業務における各処理の流れのほか、データの流れやシステムへの入出力、出力される書類などが記載されます。
業務フローのポイントは「正確さ+分かりやすさ」
業務フローを作成する際のコツは、正確さと分かりやすさを意識して作成することです。
業務フローを作成する上で悩ましい点が、「業務フローにおける一つ一つの処理をどれだけ細かく/粗く分けて記述するか(=記述の粒度)」というものです。
ここで、業務フローの目的について考えたいと思います。
業務フローを作成する目的とは、ヒアリングで入手した情報をもとに顧客の業務を可視化することで、業務の課題やあるべき姿を整理することです。
では、業務の課題やあるべき姿の整理にあたり、ふさわしい業務フローの粒度はどの程度でしょうか。
粒度を細かくすれば、業務の内容を正確に把握することが可能です。しかし、内容が複雑になるため、課題を整理するにあたって必要以上に時間がかかってしまいます。
一方で、粒度を粗くして図式化してしまうと、分かりやすさは向上しますが、業務の流れを正しく把握することが難しく、課題を見落としてしまう可能性があります。
記述の粒度に絶対的な正解はありません。
※ただし、目安の一つとして「業務に関わっていない第三者が見て理解できるかどうか」という基準があります。
絶対的な正解がないからこそ、業務フローの目的をその都度考え、ケースによって柔軟に対応することが大切です。
なお、記述の粒度を調整する以外にも、分かりやすさが向上する方法があります。
例えば、同じ処理の流れが複数で発生した場合、共通している部分を特定のページに集約することで、冗長性が解消され読みやすさが向上します。
また、箱(一つの処理を図にしたもの)の間隔をそろえる、矢印の交差をできる限り避けるといった体裁に気を付けることも、分かりやすさを向上させる上でとても重要な要素です。
まとめ
今回の記事では、業務ヒアリングと業務フローのロールプレイングを題材に、概要や意識したいポイント等を紹介しました。
今回の研修を通して個人的に特に印象的だったことは、「相手の認識を正確に理解することと、自分の認識を正確に伝えることの重要性」です。
ヒアリング時に行う「再定義」の重要性だけでなく、業務フローで処理の詳細をテキストで記述する際も、言葉一つ一つの定義を明確にした上で記述しないと、認識のずれにつながってしまうことを、本研修で体感することができました。
今後は、今回学んだ点を踏まえて業務ヒアリングや業務フロー作成の経験を積み重ね、的確にヒアリングと業務フロー作成を行うことができるコンサルタントを目指して頑張ります。
また、GPTechでは、「IT調達ナビ」でシステム発注に関わるすべての人に役に立つ記事を発信しています。よろしければご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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